日本透析医学会雑誌
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アンジオテンシンIIによるラットの腹膜透過能への影響
呉 幹純門脇 和臣
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1999 年 32 巻 12 号 p. 1439-1443

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抄録
ラット腹膜透析においてデキストラン70を用いて, 腹膜透過能に対するアンジオテンシンII (A II) の影響につき検討した. 実験モデルとしてA II依存性高血圧ラット (2 kidney 1 clip model) を作成した.
体重300g前後の正常な腎機能を有するSprague-Dawley (SD) 系雄ラットにmini-osmotic pumpを皮下および腹腔内に留置し2週間をかけて総量0.25mmolのA IIを投与した. 腹膜透析としてはラットに30mlの高張透析液 (ブドウ糖濃度: 3.86%) を注入し4時間貯留した. 外因性A IIの直接的 (腹腔内) および間接的 (皮下) 投与によってコントロール群と比較して腹腔内水分吸収率 (peritoneal net fluid absorption rate, PNFAR) の亢進はみられなかったが, アルブミン排泄量, グルコース吸収量はコントロール群と比較し有意に低かった. 内因性A II (A II依存性高血圧ラット) の元進状態ではコントロール群と比較しすべての項目において有意差はみられなかった.
以上の結果からA IIはラット腹膜透析において腹膜透過能を低下させることが示唆された.
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