日本透析医学会雑誌
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上腕動静脈表在化内シャント手術の経験
岸本 大輝田村 雅人塩津 智之中村 章一郎
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2003 年 36 巻 5 号 p. 311-315

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抄録

高齢者や糖尿病を合併した透析患者の増加に伴い, 定型的な内シャントの作成が困難な症例を経験する機会が増えた. われわれはこのような症例に対して人工血管の使用や直接動脈穿刺を選択する前に, 上腕動静脈表在化内シャント作成手術を行うことが多い. 今回, その術式と成績について報告する.
1996年1月から2000年12月までの期間に11症例に対して合計15件の手術を行った. 手術は内シャント作成と動静脈表在化の2つの段階に分かれるが, 内シャントの開存期間は手術を一期的に行った場合が平均2.8ヵ月, 二期的に行った場合が平均15.2ヵ月であり, 二期的に行った方が成績は良好だった. また二期的に作成された内シャントの累積開存率は, 1年が63.6%, 3年が27.3%であった. 合併症として, 動脈破裂, スチール症候群, 動脈瘤形成, シャント血流過多を認め, その作成および使用には注意が必要と考えられた.
上腕動静脈表在化内シャント作成手術は自己静脈を使用した二次的ブラッドアクセスの1つとして有用な方法と思われた.

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