日本透析医学会雑誌
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多施設共同による透析患者の降圧薬処方実態調査
平田 純生太田 美由希藤田 みのり奥野 仙二大森 俊治谷脇 愛実北村 芳子三宅 健文閑田 なるみ原田 敬子山澤 紀子大里 恭章山岡 美紅長浜 文子木村 健増田 博也池上 英文
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キーワード: 透析, 隆圧薬, 透析歴, 加齢, 糖尿病
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2004 年 37 巻 1 号 p. 71-78

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抄録
9施設2,604名の透析患者 (男1,572名, 女1,032名; 平均年齢62.3±11.9歳) に対して降圧薬使用実態調査を行い, 原疾患, 透析方法, 透析歴, 年齢, 性別などによる降圧薬処方状況について検討した. 全患者中63.7%が何らかの降圧薬を処方されており, 降庄薬の種別による処方頻度はCa拮抗薬50.9%, アンジオテンシン受容体拮抗薬23.9%, アンジオテンシン変換酵素阻害薬15.9%, α遮断薬12.9%, β遮断薬10.0%, その地の降圧薬3.2%であった.
DM群 (n=747) の平均降圧薬処方は1.49±1.26剤で非DM群 (n=1,857) 1.11±1.20剤に比し有意に多く (p<0.0001), DM群ではβ遮断薬・その他の降圧薬を除く降圧薬において有意に処方頻度が高かった. 処方薬総数に性差は認められなかったが, 平均降圧薬処方数は男性1.36±1.27剤, 女性1.01±1.14剤と有意に男性で多く (p<0.0001), その他の降圧薬を除くすべての降圧薬種別において男性で有意に高かった. 降圧薬処方数はDM群, 非DM群の間, 男女間に有意差が認められ, 重回帰分析の結果から原疾患ではDM, 性別では男性, 若年者, 短い透析歴が降圧薬処方数を増加させる主な要因であることが明らかになった.
降圧薬処方数は透析歴の延長に伴い減少する傾向が認められ, 特に透析歴15年以上の透析歴最長群では降圧薬処方数の有意な低下が認められた. 重回帰分析では若集者が降圧薬処方数を増加させる要因であったが, 透析歴15年以上群は他群に比し平均年齢が有意に低いため, 降圧薬処方数の減少するメカニズムは加齢と透析歴延長で異なることが推測された.
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© 社団法人 日本透析医学会
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