日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
A study of nutritional management records for patients on dialysis
Sachiko NagahamaMasami MatsuzakiYoshio Suzuki
著者情報
ジャーナル フリー

2004 年 37 巻 11 号 p. 1941-1950

詳細
抄録

透析患者の栄養ケアマネージメントを行うにあたって, 問題志向システム (POS: problem-oriented system) 方式を導入している栄養管理記録の実態を調査し, 同時に私案の栄養管理記録モデルを試用した際の諸点を検討した. 患者の膨大な栄養情報を効率よく記入し, 栄養ケアマネージメントに対応できる栄養管理記録の開発は臨床の実践面で大きな意味を持っている.
私案の栄養管理記録モデルの特徴はクリティカル・パス (CP) や電子カルテに対応できるチェックリスト方式を用いることである. 調査は2002年に行い, 栄養管理記録モデルを26施設の管理栄養士へ郵送配布し, 試用を依頼した. 得られた回答から本モデルの有用性と改善点を検討した.
調査回答は22施設から得られ, 計140症例について検討した. POSによる栄養管理記録項目は, 透析群と非透析群とも90%以上で記入されていた. 食生活に関する項目は, 透析群と非透析群とも60-90%の割合で記入されていた. 上記の結果とモデル試用後の感想により, 書式や記録項目, 使いやすさなどで改善すべき点が明らかになり, 理想の栄養管理記録のさらなる開発に有用なデータが得られた.
今後, 患者の栄養管理記録は簡便な記録方式と他の医療スタッフに十分に伝える根拠に基づく医学 (EBM: evidence-based medicine) に対応した共通言語を用いることで, 栄養ケアマネージメント業務に有効活用できる. また, チーム医療やCP, 電子カルテへの対応も可能な記録にもなる.

著者関連情報
© The Japanese Society for Dialysis Therapy
前の記事 次の記事
feedback
Top