日本透析医学会雑誌
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CAPD患者に合併した血球貪食症候群の1例
白井 純宏野尻 明弘井 秀隆崎山 仁野上 千佐鍋倉 康文早野 恵子津田 弘之副島 秀久
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2004 年 37 巻 11 号 p. 1999-2003

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抄録

腹膜透析患者に合併した血球貪食症候群の1例を経験したので報告する. 症例は68歳女性. 1997年に左腎腫瘍の根治的左腎摘除術施行. 手術時に行った対側腎の腎生検の結果から二次性アミロイドーシスの診断を得, その後, 腎機能悪化のため1998年5月に血液透析導入となった. しかし, 透析中低血圧状態が持続し透析困難症のため1999年12月に腹膜透析 (CAPD) へ移行した.
以後経過良好であったが, 2000年2月末より38℃台の高熱を認め, 熱源を精査したが明らかな原因不明で種々の抗生物質にもほとんど反応がみられなかった. 最終的にEBウィルスの再感染を考え免疫抑制剤 (シクロスポリン) 投与した結果, 解熱効果はみられたが1週間後に永眠された. 死後, 肺・肝・腎・骨髄のnecropsyを行った結果, 肺よりアミロイドの沈着および肝, 骨髄より血球貪食像がみられたことから血球貪食症候群 (HPS) と診断した. 透析患者に発生したHPSは極めてまれであり貴重な症例であると思われた.

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