日本透析医学会雑誌
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シャントトラブルにおける当院の治療法の選択
後藤 順一久木田 和丘江川 宏寿池田 篤飯田 潤一坂田 博美堀江 卓玉置 透目黒 順一米川 元樹川村 明夫
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2005 年 38 巻 2 号 p. 105-110

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抄録

シャントトラブルは維持透析管理上比較的多く経験される. 今回, われわれはシャントトラブル時に行ったシャント造影検査結果を分析し, それによる治療法の選択について検討したので報告する. 平成9年1月から平成14年4月までの造影検査施行症例中, 異常所見のあった318例を対象にした. 造影理由は脱血流量不足が131例 (41.2%), 静脈圧上昇が44例 (13.8%) と透析施行困難が半数以上を占めた. 318例中, 異常所見として延べ380病変が認められた. そのうち静脈側病変が230 (60.5%) と最も多く, 続いて動静脈吻合部病変67 (17.6%), 人工血管病変55 (14.5%), 静脈中枢側病変24 (6.3%), 動脈側病変4 (1.1%) であった. 全380病変中263病変 (69.2%) が狭窄所見であり最も多かった.
治療はシャント再建術を82例 (25.9%), 新しいシャント造設を31例 (9.7%), 病変部に対する人工血管置換術を19例 (6.0%) に選択した. また狭窄部に対するインターベンション治療として経皮的血管形成術 (PTA) を79例 (24.8%) に行った. 狭窄症例237例について狭窄部位別治療法をみると, 動静脈吻合部病変症例は外科治療によるシャント再建術が32例 (50.0%) と多く, 静脈側病変症例では外科治療38例 (33.6%) に対しインターベンション治療が41例 (36.3%) で, ほぼ同数であった. 人工血管病変症例にはインターベンション治療を23例 (56.1%) と多く選択していた. また中枢側所見のあった症例ではシャントとして使用不適になる例が多く, 新しいシャント造設を6例 (31.6%) に施行した.
いずれもその後のブラッドアクセスは機能している. ブラッドアクセストラブル時には, 中枢側静脈を含めた造影で治療方針を決定した方が再手術の減少につながり, シャント寿命を考慮すると可及的な現状ルートの再建が望ましい. また多数のシャント手術歴を持つ症例や人工血管症例には将来のブラッドアクセス確保が困難とならないようインターベンション治療も選択する必要があると考えられた.

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