日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
糖尿病透析患者におけるglycated albumin/HbA1c ratio 栄養評価の指標との関連性
向井 正法柴田 孝則林 文宏向井 一光中村 裕紀杉崎 徹三
著者情報
キーワード: 栄養評価
ジャーナル フリー

2005 年 38 巻 2 号 p. 117-123

詳細
抄録

【目的】 糖尿病透析患者における, glycated albumin (GA) とHbA1cとの比 (GA/HbA1c ratio) が栄養評価の指標と関連を示すか否かについて検討した. 【対象と方法】 当院の関連施設に通院中の糖尿病透析患者20名 (男性13名, 女性7名, 平均年齢64.2歳, 平均透析歴43.5か月) を対象とした. 全ての症例において, 血液検査は週初めの透析開始前に行った. また従来の栄養状態の指標として, body mass index (BMI), desirable protein catabolic ratio (dPCR), KT/V, time averaged concentration of urea (TACurea) および血液検査から総蛋白, アルブミン, 総コレステロール, トリグリセライドを測定し, さらに, ヘモグロビン, ヘマトクリット, 血清鉄, 総鉄結合能, トランスフェリン飽和率, 血清フェリチン濃度, カルシウム, リン (P), アルカリフォスファターゼ, 副甲状腺ホルモン, CRPをGA, HbA1cと同時に測定して, GA/HbA1c ratioとの関連性を検討した. 【結果】 GA/HbA1c ratioはBMI, dPCR, Pと有意な相関関係を認めた. GA単独ではBMIと相関を認めたもののdPCRやPとは相関を認めず, HbA1c単独ではBMI, dPCR, Pいずれも相関を認めなかった. 全対象患者のGA/HbA1c ratioの平均値 (3.37) を境界に, 高GA/HbA1c ratio群 (GA/HbA1c ratio>3.37, n=8) と低GA/HbA1c ratio群 (GA/HbA1c ratio<3.37, n=12), に分類し, 2群間の各検査結果を比較したところ, 高GA/HbA1c ratio群は低GA/HbA1c ratio群に比べBMI, dPCR, Pで有意に低値を認めた, また, GA/HbA1c ratioを目的変数としたステップワイズ法による重回帰分析ではBMI, Pが有意な説明変数となった. 【結論】 糖尿病透析患者におけるGA/HbA1c ratioは, 透析患者におけるいくつかの栄養評価の指標と関連することが示唆された.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top