日本透析医学会雑誌
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秋田県の透析患者に発症した急性脳症 (第1報)
臨床背景と透析条件
佐藤 滋山岸 剛北島 正一寺邑 朋子柳原 清高橋 聡権守 邦夫豊島 至水戸部 陽子羽渕 友則石山 剛加藤 哲郎
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2005 年 38 巻 2 号 p. 139-142

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抄録
2004年9月から11月にかけて新潟, 山形や秋田を中心に, 原因不明の急性脳炎 (脳症) が多発した. 多くの患者は末期腎障害があり, スギヒラタケを摂取していたという共通事項があった. 秋田県では24例の届け出があった. 24例中17例は慢性透析患者であり, 3例は保存期腎不全であった. 本研究は17例の脳症発症透析患者において, 何らかの共通した臨床背景や透析条件が急性脳症発症に影響しているかを検討した. その結果, 平均年齢64.2歳, 平均透析期間56.8か月, 男性9女性8, 腎不全の主たる原因疾患は糖尿病性腎症と慢性腎炎であった. 17例の共通事項は, 血液透析患者であることとスギヒラタケ摂取だけであった. 服用薬剤, 透析液, 抗凝固剤や透析膜に特徴的なものはなかった. さらに, 2施設102名の透析患者を調査し, スギヒラタケ摂取率と急性脳症発症率を検討した. 102名中57名 (55.8%) がスギヒラタケを摂取し, 57名中5例 (8.7%) が急性脳症を発症, 5例中2例 (40.0%) が急性脳症によって死亡した. 本調査では血液透析とスギヒラタケ摂取以外に, 他に共通した臨床背景や透析条件は見い出すことができなかった. 原因究明のためのさらなる検討が必要である.
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© 社団法人 日本透析医学会
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