日本透析医学会雑誌
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慢性腎不全患者におけるドブタミン負荷心エコーによる心血管予後予測
新妻 晋一郎中浜 肇中村 敏子吉原 史樹加藤 とあこ稲永 隆中谷 敏河野 雄平
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2005 年 38 巻 8 号 p. 1397-1402

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抄録

ドブタミン負荷心エコー (DSE) は, 虚血性心疾患 (IHD) の診断に有用であり, 心血管事故の発症予測に有効であると報告されている. 以前当施設においても慢性腎不全患者のIHDの診断に有用であることを報告した. 今回DSEを施行した慢性腎不全患者の心血管事故の予後について検討した. 対象は慢性腎不全患者40例 (Cr 4.8±0.4mg/dL) (慢性糸球体腎炎12例, 糖尿病性腎症17例, 腎硬化症9例, その他2例) である. ドブタミン負荷により壁運動異常が認められなかったM群, 壁運動異常が認められたA群, 不整脈, 頻脈, 血圧上昇や低下のため検査を中断したS群の3群に分け, 2004年1月までの心血管事故の予後を検討した. 追跡調査が可能であったのは38例 (A群8例, M群14例, S群16例) であり, 平均年齢は65±10歳, 平均追跡期間は24±9か月であった. 心血管事故 (心不全増悪, 血行再建を要する虚血性心疾患) の発症はM群 (14%) に比較してA群 (75%) とS群 (69%) において有意に多かった (p<0.04). DSEは慢性腎不全患者における心血管予後推測に有用であることが示唆された.

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