日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
Sevelamer hydrochlorideの投与と前腕副甲状腺移植片の外科的摘出により劇的に縮小した腫瘤状石灰化の1例
福井 亮若林 良則塚田 有紀子末次 靖子林 良明圓井 芳晴横山 啓太郎細谷 龍男
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 39 巻 6 号 p. 1191-1195

詳細
抄録

1979年 (33歳時) から維持透析中の57歳男性. 二次性副甲状腺機能亢進症に対し, 1994年に副甲状腺摘出術および左前腕への自家移植術が行われた. その後もintact PTH (i-PTH) 1,000pg/mL以上が続き, 1999年に頸部の残存腺の摘出が行われた. 2003年6月頃から「右臀部が痛くて座れない」と訴え, 同年12月当院へ紹介され受診した. 血清Ca 13.2mg/dL, P 6.1mg/dL, Alb 4.4g/dL, i-PTH 360pg/mL, 骨盤X線写真で, 右臀部から大腿内側に手拳大の腫瘤状石灰化を認めた. 前医で使用されていた大量のビタミンD製剤, bisphosphonate, AI含有のP吸着剤を中止し, sevelamer hydrochlorideでの治療を行いCa・Pの正常化につとめた結果, 2004年12月i-PTHが2,022pg/mLまで再上昇したため, 自家移植後副甲状腺の摘出 (PTx) が施行された. 以上の治療により, 腫瘤状石灰化が数か月の経過で著しく縮小した. Sevelamerを使ったCa・Pのコントロールに加えてPTxを行うことで, ビタミンD過剰投与および二次性副甲状腺機能亢進症が関与した腫瘤状石灰化を縮小しえた1例を報告した.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top