心電図
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学術諮問委員会提言シンポジウム「自律神経と不整脈」
β遮断薬による心臓突然死の予防
池田 隆徳
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2016 年 36 巻 1 号 p. 64-73

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抄録

β遮断薬は,Na+あるいはK+チャネル遮断作用を有する狭義の抗不整脈薬に比べて,不整脈に対する作用効果は弱い.しかし,交感神経活動の緊張緩和や頻拍時の心拍数減少などの二次的な効果を有するため,不整脈治療に使用される頻度は高い.また,狭義の抗不整脈薬は強力な不整脈抑制作用を有する反面,心収縮力低下や危険性の高いほかの不整脈を惹起することがあり,この点においてもβ遮断薬は重篤な副作用の発現が比較的少なく,使用しやすい薬物といえる.さらに不整脈領域では,持続性心房細動・心房粗動のレートコントロール目的での使用頻度が最も高く,交感神経緊張が関与する心室不整脈の抑制や予防,心不全や心筋梗塞患者の心臓突然死の予防目的でも広く用いられている.β遮断薬には経口薬のみならず静注薬もあり,急性期の心室不整脈の管理においてなくてはならない薬物となっている.心室不整脈の薬物治療の中心はIII群抗不整脈薬であるが,それが無効である症例に対しては,β遮断薬が有効であることが多い.

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© 2016 一般社団法人日本不整脈心電学会
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