2021 年 41 巻 1 号 p. 23-29
単発または2連発の心室期外収縮により房室結節内で機能的縦解離したslow pathway(S路)を逆伝導し,fast pathway(F路)を下行する非通常型房室結節リエントリー頻拍が再現性をもって惹起されたと考えられた2例を報告した.症例1は50歳代女性,単発の心室期外収縮によりQRS直前に陰性P波を伴う房室結節リエントリー頻拍が惹起されたが,頻拍の第1拍は洞性P波でも,また洞性P波と陰性P波との心房融合でも惹起された.症例2は50歳代男性で,心室期外収縮2連発によりQRS直前に陰性P波を伴う非通常型房室結節リエントリー頻拍が惹起された.症例2も頻拍の第1拍は洞性P波でも頻拍は惹起されたことから,洞性刺激がリエントリー回路に進入する前にS路からF路への回帰が生じたと考えられた.症例2は頻拍QRSの立ち上がり部分にデルタ波を思わせる盛り上がりがあるように見えることから,bystander WPWとの鑑別診断についても述べ,考察した.