心電図
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拡大肺静脈隔離術におけるプロポフォールとフェンタニル併用の有用性
高松 幸子橘 元見井伊 信久松本 健佑伴場 主一
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2021 年 41 巻 4 号 p. 190-196

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抄録

【背景】拡大肺静脈隔離(extensive encircling pulmonary vein isolation:PVI)術中の麻酔管理は安全に手技を行う上で不可欠であるが,鎮静,鎮痛薬の使用に定まった方法はない.当院では,プロポフォールにペンタゾシンあるいはフェンタニルを併用している.今回,PVIにおけるフェンタニルの有効性をペンタゾシンと比較検討した.【対象と方法】2016年11月~2018年12月に当院でPVIを行った225人の心房細動患者を対象とした.全例に,鎮静薬としてプロポフォールを使用した.2016年11月~2017年5月にペンタゾシンを併用したペンタゾシン群(P群)62症例,2017年6月~2018年12月にフェンタニルを併用したフェンタニル群(F群)163症例の2群間で,患者背景,術中のプロポフォール投与量,追加投与回数,術後の覚醒時間に関して比較した.【結果】患者の平均年齢は66.9歳で,74%が男性であった.プロポフォールの総投与量[P群:17.5mg/kg(15.6~21.2mg/kg)vs F群:21.6mg/kg(18.4~25.1mg/kg),p<0.01],初期導入時急速投与量[P群:1.9mg/kg(1.6~2.2mg/kg)vs F群:3.4mg/kg(2.9~4.4mg/kg),p<0.01]はF群が有意に多かった.左肺静脈隔離開始からPVI終了までのプロポフォール追加投与量[P群:0.8mg/kg(0.5~1.1mg/kg)vs F群:0.4mg/kg(0~0.8mg/kg),p<0.01],追加投与回数[P群:2.0回(1.0~3.0回)vs F群:1.0回(0~2.0回),p<0.01]はF群が有意に少なかった.プロポフォール中止から抜管までに要した時間(覚醒時間)[P群:17.0分(12.3~21.0分)vs F群:17.0分(13.0~21.5分),p=0.54],プロポフォール中止から退室までに要した時間(退室時間)[P群:40.0分(32.3~47.0分)vs F群:40.0分(35.0~46.0分),p=0.64],手術時間[P群:189分(172~222分)vs F群:184分(162~209分),p=0.11]は2群間で有意差はなかった.【結語】フェンタニルはペンタゾシンに比べ,術中のプロポフォール追加投与量,回数を減少させる可能性がある.

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© 2008, Japan Science and Technology Agency
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