抄録
新生児期発症の上室性頻拍10例に電気生理学的検討を行い, 頻拍消失に関する因子, 新生児期の副伝導路の経時的変化に関して検討を加えた.乳児期以後も頻拍が誘発されやすい例は, 1) 新生児期の心電図でデルタ波を認め, それ以後もデルタ波が消失しない例, 2) B型のWPW症候群, であった.逆に, 頻拍が消失する可能性が高い例は, 1) 新生児期の心電図でデルタ波を認めない例 (すなわち潜在性WPW症候群) , 2) A型のWPW症候群, 3) follow up中にデルタ波が消失する例, であった.
副伝導路の経時的変化には, 電気生理学的にみて, 副伝導路の逆伝導時間の延長と, 順行性有効不応期の延長が関与すると思われた.