1995 年 15 巻 2 号 p. 162-169
ヒスープルキンエ系伝導能のオーバードライブサプレッション (ODS) については, いくつかの報告がみられるが, 房室副伝導路の伝導能に関するODSについての報告は少ない.ケント束順伝導の不応期が比較的長く (360msec, 280msec) , 逆伝導の不応期が短い (230msec以下, 230msec) A型WPW症候群の2症例において著者らは心房および心室高頻度ぺーシング後, 一過性にデルタ波が消失するケント束順伝導のODSあるいは疲労現象を観察しえた.2症例ともにケント束順伝導のODSの持続時間は刺激頻度および刺激時間に依存し, また30秒間のぺーシングでは心室ペーシングに比較し, 心房ペーシングの方が抑制の程度が大きかった.