心電図
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房室回帰性頻拍のエントレインメント現象に関する再検討: 副伝導路部位・ペーシング部位の相異に基づく反応パターンの多様性
浅見 光一鈴木 文男芦川 英信寺井 知子石原 直子縄田 浩子平尾 見三川良 徳弘比江嶋 一昌
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1996 年 16 巻 6 号 p. 687-705

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抄録

左側の副伝導路 (AP) が関与するorthodromic typeの房室回帰性頻拍 (AVRT) 20例に対し, 頻拍中に冠静脈洞 (CS) 近位部あるいは遠位部より頻回刺激を行ない, エントレインメント現象を観察した.後壁のAPを介する8例では, 右心耳 (RAA) における最終刺激スパイク直後の後続周期 (OL1) は, 刺激部位・刺激周期 (PCL) に関わらす常に頻拍周期 (TOL) より延長していた.一方, 前壁のAPを介する12例では, CL1は刺激部位・PCLに依存して (1) CL1=POL, (2) PCL<CL1<TOL, (3) CL1≧TCLと異なる3つの反応パターンを示した.CL1=PCLという反応は, CS近位部から頻回刺激を試みた10例でのみ認められた.これらの10症例では, PCLの短縮に伴いOS近位部 (刺激部位) からRAA電極 (記録部位) への興奮伝播様式の変化 (伝導時間の短縮) が観察されたが, その際, RAA電位波形に有意な変化はなかった.今回示された現象は, AVRTおよび他のリエントリー性不整脈におけるエントレインメント現象のメ力ニズムを理解するうえで考慮すべき重要な所見と考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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