心電図
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副伝導路と同側の脚ブロック出現時に頻拍周期が短縮ないし不変であった房室回帰頻拍の2例
齋藤 雄司相沢 義房古嶋 博司池主 雅臣藤田 聡柴田 昭
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1996 年 16 巻 6 号 p. 782-788

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抄録

症例1: 40歳女性.潜在性WPW症候群の診断で電気生理学検査を施行した.副伝導路は左側に認められ, これを逆伝導する房室回帰頻拍が誘発された.頻拍中narrow QRSから左脚ブロック波形に移行したが, 頻拍周期は360mseoから280msecとむしろ短縮した.同時にAH間隔は210 msecから100 msecへと短縮し, これが左脚ブロック時の頻拍周期の短縮の原因であった.副伝導路は高周波アブレーションにより消失した.
症例2: 46歳女性.間欠型WPW症候群の診断で電気生理学検査を施行した.房室回帰頻拍の誘発時, 左脚ブロック型QRSがnarrow QRSに移行したが, 頻拍周期はともに355 msecであった.AH間隔は160 msecから200 msecへ延長し, 左脚ブロックの消失による周期短縮効果を相殺していた.副伝導路は左室後壁で高周波アブレーションにより消失した.
副伝導路と同側の脚ブロックが出現すると房室回帰頻拍の周期は延長するのが普通である.ここでの2症例は頻拍中に左脚ブロックを合併したが, 脚ブロックによる頻拍周期の延長効果がAH間隔短縮により相殺され, その結果として頻拍周期が不変もしくは短縮したものと考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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