心電図
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急性下後壁心筋梗塞発症後にデルタ波が消失したWPW症候群の1例
友田 芳夫藤本 眞一上村 史朗川本 篤彦中嶋 民夫濱野 一将池口 滋綿貫 正人橋本 俊雄土肥 和紘
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キーワード: WPW症候群, 心筋梗塞
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1999 年 19 巻 4 号 p. 368-373

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抄録

下後壁貫壁性心筋梗塞発症後の心電図所見に異常Q波が認められず, しかもデルタ波が消失したWPW症候群の1例を経験したので報告する.症例は, 53歳, 男性.平成元年1月, 発作性心房細動の発症を契機にWPW症候群と診断された.平成7年10月28日, 車を運転中に突然, 激しい前胸部痛を自覚した.心電図所見でII, III, およびaVF誘導にST上昇とV1でのR波の増高が認められたことから, 急性下後壁梗塞と診断されて当科に入院した, 緊急冠動脈造影所見で100%の閉塞を示した右冠動脈のSeg2は, PTCAによって0%の狭窄に改善した.デルタ波は, 心筋梗塞発症前に出現していたが, 発症後から消失した.また, 心筋シンチ所見が貫璧性梗塞を示したにもかかわらず, II, III, およびaVF誘導に異常Q波が認められなかった, その原因としては, デルタ波が梗塞によるQ波と相殺した可能性がある.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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