心電図
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胸腔鏡を用いた高周波アブレーションの基礎的研究
―心室頻拍に対する新しい治療法の開発―
中島 邦喜
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2000 年 20 巻 3 号 p. 244-252

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抄録

心外膜側に不整脈起源が存在する心室頻拍の治療を目的として, 胸腔鏡下に行う心表面高周波アブレーション法の開発を試みた.まず通電部電流密度とエネルギー密度のコンピュータシミュレーションを行い電極の至適形状を検討した、次いで径0.8mmの銅線をそれぞれ4, 5本配列した2種の心表面高周波通電用電極を試作し, ブタ摘出心で銅線間距離を変化させ高周波通電を行い焼灼巣の大きさを検討した.最後に13頭の雑種成犬を用いて胸腔鏡ガイド下に心表面高周波通電を行い, 心表面焼灼可能部位の検討と焼灼巣の定量的検討を行った.また3頭において慢性期催不整脈性の有無と病理組織学的検討を加えた.その結果, 電極の至適形状においては電極間距離が短いほど, また4点よりも5点の方が電流密度, エネルギー密度が高い結果が得られ, 摘出心筋の組織深達度において有意差が認められた.胸腔鏡下心表面高周波通電では, 5点電極の方が4点電極より優位に深達度が大きく (p<0.001) , 平均4.9±1.2mmであった.一方慢性期に催不整脈性は認めず, その病理組織では周囲の正常心筋と明瞭に境界された凝固壊死巣が認められた.以上, 胸腔鏡下心表面高周波アブレーションは不整脈の新しい治療法と成り得ることが示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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