症例は66歳男性.通常型心房粗動の診断で精査加療となった.電気生理検査では, 心房粗動は三尖弁輪周囲と下大静脈周囲をともに回旋するdual-loop-reentryであることが示された.解剖学的峡部に線状アブレーションを行い, 両方向ブロックを形成した数日後に非通常型心房粗動が再発した.頻拍中のentrainment現象, post pacing intervalならびにelectro-anatomic mapping systemでの検討の結果, この頻拍はlower-bop-reentryであり緩徐伝導部位は初回治療のアブレーションで形成された低電位領域に存在することが示された.また, 右心房後側壁領域においては通常型心房粗動時にブロックを認めていた下大静脈直上領域での横方向の伝導を認めた.そのため三尖弁輪～冠静脈入口部～下大静脈へ線状にアブレーションを行ったところ頻拍は停止し誘発不能になった.
