2006 年 26 巻 5 号 p. 744-749
【症例】62歳男性.【現病歴】陳旧性心筋梗塞に伴う心室頻拍, 心室細動にてdual-chamber植込み型除細動器 (ICD) を移植した.移植の50カ月後にICDが作動し, ICD履歴より心房電位, 心室電位において同時相に混入するノイズによる不適切作動と判明した.しかし, 心房リード, 心室リードともにX線で異常を認めず, 抵抗も正常範囲内であった.そこで, ICD交換術を施行し, リードを本体から外し電位を記録したところ, 心房双極電位, 心室双極電位, 心房近位単極電位, 心室近位単極電位でノイズ混入を認めた.さらにリード抵抗は心房, 心室ともに双極あるいは遠位単極に比べ近位単極で低値を示した, 以上より, 心房リードと心室リードの接触による被膜損傷がノイズの原因と推察された, 本症例のように心房リード, 心室リードの被膜損傷が原因で生じたノイズによるICDの不適切作動の報告はなく, まれな症例と考えられた.