心電図
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第10回 臨床心臓病フォーラムテーマ「心筋再分極の異常に伴う心電図変化」
講演2 Brugada症候群の心電図変化
鎌倉 史郎
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2008 年 28 巻 Suppl2 号 p. 20-28

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抄録

Brugada症候群の心電図分類として米国および欧州Heart Rhythm学会が提唱した分類がよく知られている.欧米では, J点で0.2mV以上のST上昇があるが, coved型でT波が陰転しているtype1のみをBrugada症候群として扱う傾向にある.一方, 本邦の登録研究では, type2やJ点で0, 2mVに達しないST上昇例を含む非type1の予後がtype1と変わらないとの結果がでている, またtype3を呈する症例は少なく, T波陰転のないtype1も多数存在することから, 分類の修正が必要と考えられる.本症候群では心筋のNaチャネルまたはL型Caチャネルをコードする遺伝子の変異が報告されており, 動物実験からこれらのST上昇や心室細動の発症機序が明らかにされている.しかしながらヒトでそれらを立証した報告はなく, 本症候群で認められる臨床病態のすべてを, これらの電流変化で説明しうるには今しばらく時間を要するように思われる.本症候群の予後を予測しうる指標として, 本邦では70歳未満での突然死の家族歴があげられるが, これまでのところ, 有力な心電図指標はみつかっていない.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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