1983 年 3 巻 1 号 p. 39-47
2次勾配SQUID (superconducting quantum interference devices, 起伝導量子干渉計) を用いて, 正常例および各種病態において, 前胸部のisomagnetic map (磁界分布図) およびvector arrow mapを作成し, 心起電力の推定を行った。
Vector arrow mapおよびisomagnetic mapより推定される心起電力は, 従来の実験あるいはシミュレーションなどによる心室内興奮伝播過程の結果とよく一致し, 本法による心起電力の推定の有用性が示唆された。また, 2次勾配磁束計は磁界の特殊な微分形を記録しているために, 検出器の近くに存在する起電力を把え易くなっており, 心電図とは異った情報の検出も可能であった。特に, 胸壁近くに存在する右室の起電力を把え易く右室負荷疾患の診断に有用と考えられた。
また, 本法は局所の起電力を反映し易く, multiple dipoleの推定も可能で, 体表面の情報から心起電力を推定する逆方向問題の解析に有用と考えられた。