心電図
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心室期外収縮と心室内変行伝導収縮のベクトル心電図鑑別診断
水谷 真規子松井 好美江坂 洋一今本 明子山田 廣北川 信之山内 一信林 博史外畑 巌竹内 純
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1985 年 5 巻 2 号 p. 207-213

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抄録

心室期外収縮96心拍と, 心室内変行伝導を伴う上室期外収縮29心拍のFrank法ベクトル心電図QRS環の特徴を分析し, 両者の鑑別基準の作成を試みた。
心室期外収縮は心室変行伝導収縮に比してQRS時間および空間最大ベクトル到達時間の延長, 初期描記速度の低下, 正常伝導収縮との初期ベクトル空間夾角の開大という特徴を示した。心室期外収縮を心室変行伝導収縮から鑑別する基準として, (1) QRS時間≧120msec, (2) 空間最大ベクトル到達時間≧50msec, (3) 空間速度心電図初期30msec間のQRS環最大描記速度<75mV/sec, (4) 正常伝導QRSとの初期10msec瞬時ベクトル空間夾角≧50°を用いると, それぞれ80%, 90%, 86%, 76%の診断精度が得られた。基準 (2) ~ (4) のうちいずれか2つ以上を満足するものを心室期外収縮とすると93%の最も高い診断精度が得られ, この組合せ基準を心室変行伝導収縮から心室期外収縮を鑑別する当面の基準として提案した。

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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