抄録
長期心室ペーシング中に心不全を発症した洞不全症候群の3症例を報告する。症例は65歳男性, 59歳女性, 77歳男性でいずれも洞不全症候群に伴う眩暈に対して恒久的心室 (VVI) ペースメーカーが植込まれた。8ヵ月から2年半後に明らかな誘因なしにうっ血性心不全症状が出現したため精査目的で入院した。
症例1, 3では心電図上逆行性P波を, 症例2では洞性興奮とペーシソグ調律との間で等頻度房室解離がみられた。心臓カテーテル検査にて全例で心拍出量の低下 (心係数平均2.1/分/m2) と心房圧波形上cannon A波の出現を認めた。コントラスト心エコー図および下大静脈造影にてcannon A波に一致した右房から大静脈への逆流が示され, 血行動態悪化の成因と考えられた。3症例とも心房心室順以 (DDD) ペーシングへの変更により自他覚所見はすみやかに改善した。心室ペーシング時の逆行性伝導や房室解離が血行動態に及ぼす影響について考察を加えた。