抄録
小児Wolff-Parkinson-White症候群 (以下WPW症候群) 患児29例に対してトレッドミル運動負荷試験を行い, 運動負荷による心電図変化から副伝導路順行性有効不応期 (以下APERP) , 副伝導路を介し1: 1で房室伝導する最大の心房刺激周期 (以下SAP1: 1C) 等の副伝導路伝導特性が非観血的に評価可能か否かを検討した.デルタ波の正常化パターンにより, WPW症候群は (1) 間歇性WPW症候群でデルタ波のみられない群, (II) 完全消失群, (III) 部分消失群, (IV) 非消失群の4群に分類することが可能であった.これら各群間でAPERP, SAP1: 1Cを比較検討したところ, II群ではそれぞれ285.0±19.1msec, 370.0±153.6msec, III群は297.1±29.3msec, 330.0±70.0msec, IV群は337.5±28.7msec, 353.3±41.6msecといずれも各群間に有意差はみられず, トレッドミル運動負荷試験によるAPERPの非観血的評価は困難であると考えられた.