日本環境感染学会誌
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原著論文
カルバペネム系抗菌薬使用届け出制導入に伴う効果
喜古 康博郡司 恵美子野崎 俊行新井 秀宜日野 治子
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2008 年 23 巻 1 号 p. 13-18

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抄録
  当院では院内感染対策委員会における協議の結果,2006年4月1日よりカルバペネム系抗菌薬(CBPM)の投与に関して適正使用を目的に届け出制を導入した.今回,2006年4月1日~2007年1月31日の間にCBPMを投与する際の理由,投与時の菌の確定状況,届け出制導入前後の使用量及び検出菌の種類の分布を調査した.その結果,検出菌が確定しCBPMが投与された症例は66例,検出菌が未確定ではあるが投与前に培養を提出した症例は238例で,この内,後日細菌が検出された症例は146例であった.また,投与前の培養が未提出の症例は84例であった.CBPMの使用量は届け出制導入前後で約33%の減少となり,前年度に比べ購入額も約1,600万円の削減となった.全抗菌薬に対するCBPMの占める使用量の割合は届け出制導入後で約7%低下し,セフェム系抗菌薬は6%増加した.内訳は第一世代から第三世代まで平均的に増加したのに対し,第四世代は横ばいであった.喀痰,尿,血液における検出菌の種類の分布は届出制導入前後で大きな変化はなかった.CBPM届け出制を導入することによって,使用量が減少し薬剤費軽減にも大きく貢献したと考えられた.
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© 2008 一般社団法人 日本環境感染学会
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