日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
原著論文
オゾンガスによる消毒効果とリネン材への適用検討
中村 八寿雄高木 博司釜瀬 幸広橋本 光洋榛葉 紀久雄
著者情報
キーワード: オゾン, リネン, 消毒
ジャーナル フリー

2008 年 23 巻 4 号 p. 273-279

詳細
抄録
  フッ素に次ぐ高い酸化力を持つオゾンガスの各種細菌に対する消毒効果を確認するとともに,病院リネン材への適用を考慮してオゾンガスの処理対象物内部への浸透性や処理に伴う影響状況を調査した.
  S. aureus, P. aeruginosaなどの処理対象菌を寒天培地に接種し,オゾンガス処理後の残菌数を測定し,未処理をコントロールとしてその減少率により消毒効果を評価した.オゾンガスCT (オゾンガス濃度と処理時間との積)値1,000 ppm・minで処理することにより,90%以上の消毒効果が推定された.実適用に近い状況を想定したメンブレンフィルターを菌の担体とした消毒試験においても,同様なオゾン処理条件で90%以上の消毒力が得られた.
  病院リネン材に対するオゾンガスの内部への浸透性を確認するため,処理対象物の周囲濃度及び処理対象物の内部各所におけるオゾンガス濃度計測を行った結果,布団の場合で4つ折りとし,2セットを積み重ねた場合においても,約70%の浸透性が得られた.また各種処理対象物へのオゾン処理による影響確認試験を実施した結果,実用上での問題が無いことを確認した.
  これらの結果から,病院リネン材の消毒方法として,オゾンガスを適用できる可能性があることが見出された.
著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top