日本環境感染学会誌
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報告
特定抗菌薬使用前届出制の抗菌薬適正使用への効果
坪井 昭小野 朗吉本 静雄
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2008 年 23 巻 4 号 p. 295-298

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抄録
  抗菌薬適正使用の推進を目的として,カルバペネム系抗菌薬,第四世代セフェム系抗菌薬及び抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌薬(抗MRSA薬)の使用届出制を実施し,その届出制実施前後における抗菌薬使用量変化を調査した.その結果,届出制対象の抗菌薬は3系統全てにおいて,その使用量が届出制開始前と比べて減少し,中でもカルバペネム系抗菌薬と第四世代セフェム系抗菌薬の使用量が大幅に減少した.しかし,届出制開始2年後頃より届出対象薬に加えて,広域抗菌薬の使用量が徐々に増加する傾向が認められた.院内検出菌の各種抗菌薬に対する耐性化率は届出制実施前後で著変なかった.抗菌薬の適正使用のためには薬局からの積極的な情報提供などの薬剤師による持続的な介入が必要不可欠であり,感染管理における感染制御チーム(ICT)の役割は重要である.
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© 2008 一般社団法人 日本環境感染学会
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