日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
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報告
鍼灸師養成学校における感染防止対策の実態調査
菅原 正秋小林 寬伊大久保 憲比江島 欣慎梶浦 工菅原 えりさ黒須 一見坂井 友実
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キーワード: , 感染制御, アンケート, 教育
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2010 年 25 巻 4 号 p. 223-228

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抄録
  感染制御の観点から鍼灸師養成学校(鍼灸学校)の実技実習で使用されている鍼の種類や衛生的取扱い方法の指導について把握する目的で,鍼灸学校を対象にアンケートを実施した.2008年12月~2009年3月に全国の鍼灸学校に調査用紙を郵送し,回答を求めた.質問項目は,実習で使用している鍼の種類,鍼の取扱い方法の質問などから構成され,回答は選択形式とした.
  回収率は69.9%であった(107/153施設).実習で使用している鍼の種類について調査したところ,「単回使用毫鍼のみ使用している」が58%,「単回使用毫鍼と再使用可能な毫鍼を併用して使用している」が40%,「再使用可能な毫鍼のみ使用している」が2%であった.しかし,単回使用毫鍼を使用していても,本来の使用目的どおり,単回使用を指導している割合は25%であった.また,施術する際,鍼を直接手指で触れないためにゴム手袋や指サック等を使用しているかを調査した.「常に使用するように指導している」が17%,「使用するかどうかは各教員に任せている」が35%,「使用するようには指導していない」が48%であった.
  以上の結果から,単回使用毫鍼の使用率は高いが,適正な使用法が指導されていない場合があること,無菌的な刺鍼法の実施率は低く,未だ教育の中で標準化されていないことなどが明らかとなった.
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© 2010 一般社団法人 日本環境感染学会
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