日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
報告
Anatomical Therapeutic Chemical Classification/Defined Daily Dose Systemを利用した注射用抗菌薬の使用量と緑膿菌耐性率
梅村 拓巳望月 敬浩村木 優一片山 歳也滝 久司大曲 貴夫山岸 由佳三鴨 廣繁森 健
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 25 巻 6 号 p. 376-382

詳細
抄録

  東海地区の55施設においてAnatomical Therapeutic Chemical classification/Defined Daily Dose systemを使用し,注射用抗菌薬の使用量調査を実施し,カルバペネム系薬の使用量とimipenem, meropenemに対する緑膿菌の耐性率の関係について検討した.2008年度の注射用抗菌薬使用量(13.7 DDDs/100 bed days)は2007年度(12.8 DDDs/100 bed days)より有意に増加した(p=0.010).特に,セファロスポリン系薬(2007年度:5.3 DDDs/100 bed days,2008年度:5.6 DDDs/100 bed days, p=0.028)とグリコペプチド系薬(2007年度:0.4 DDDs/100 bed days,2008年度:0.5 DDDs/100 bed days, p=0.009)の使用量は有意に増加した.一方,2008年度のカルバペネム系薬使用量(1.3 DDDs/100 bed days)は2007年度(1.2 DDDs/100 bed days)と同等であった(p=0.418).これらの結果は,施設間あるいは地域間における抗菌薬使用量の比較が可能なため,標準化された指標として有用であると考えられた.さらに,カルバペネム系薬使用量は,imipenem, meropenemに対する緑膿菌の耐性率と相関しなかった.カルバペネム系薬の使用量増加が必ずしもカルバペネム系薬耐性緑膿菌の増加には至らず,他の要因が関与していることが示唆された.

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事
feedback
Top