日本環境感染学会誌
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臨床実践能力を活用した看護師対象の感染管理教育とその評価
嶋田 由美子
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2012 年 27 巻 5 号 p. 346-352

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抄録
  当院では,感染管理教育においては全職員を網羅する計画的な研修企画がなく,年2回の集団教育が主となる一般的な感染防止対策の啓発教育に留まっていた.そこで,2008年より感染防止対策に関する行動を変化させていくための動機付けを目的に,現場の問題点に焦点を当てた臨床実践能力別感染対策研修を行ってきた.しかし,各部署内での問題の明確化,問題解決策が不十分であり,一部の看護師の行動の変化は見られるものの集団による行動の変化までは到達せず,感染防止対策の実行を継続させていくことが課題となっていた.そこで,感染防止対策に対する看護師の考え方や行動が変化していく過程に焦点をあてた臨床実践能力別感染対策研修を検討し実施した.その研修の結果,部署内の問題について立案した解決策を行動に移すことができ,最終的に看護師の集団全体の行動変化へつながった.このことから,臨床実践能力研修を活用した現場の問題点に対する行動変化を評価していく研修は,看護師集団の行動変化を導き,効果的な感染防止対策を行うのに有効であると評価できた.
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© 2012 一般社団法人 日本環境感染学会
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