日本環境感染学会誌
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原著論文
カテーテル関連血流感染予防に向けた皮膚消毒薬としての1 w/v%クロルヘキシジン(CHG)エタノールの有効性と安全性
西原 豊梶浦 工横田 勝弘小林 寬伊菅原 えりさ大久保 憲
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2013 年 28 巻 3 号 p. 131-137

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抄録
  日本国内では,血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚消毒薬として,10%ポビドンヨード液(10%PVP–I)が広く使用されてきた.しかし,米国CDCが「血管内留置カテーテル関連感染予防のためのガイドライン2011」を公表し「中心静脈カテーテルや末梢動脈カテーテル挿入前およびドレッシング交換時にはクロルヘキシジン(CHG)濃度が0.5%を超える(>0.5%)アルコール製剤で皮膚消毒すること」を推奨して以降,特に米国ではPVP–Iから主に2%CHG含有のアルコール製剤への置き換えが進んでいる.わが国においては,中心静脈カテーテル関連血流感染(CLABSI)を含むカテーテル関連血流感染(CRBSI)予防のための皮膚消毒薬として,CDCガイドラインの要件を満たし且つ薬事上適用可能な1 w/v% CHG含有エタノール製剤(1%CHG–EtOH)が医療現場で採用される傾向にある.これら状況を踏まえ,1%CHG–EtOHの特徴を調べた結果,薬効(消毒7日後の持続効果),実使用上における安全性(皮膚に低刺激)などの科学的データ,ならびに国内での臨床的エビデンス(CRBSI低減効果)に基づき,1%CHG–EtOHは10%PVP–Iよりも皮膚消毒薬としての特性に優れることが確認された.これらの知見より,1%CHG–EtOHは臨床においてカテーテル関連血流感染の発生リスクを低減することが期待される.
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© 2013 一般社団法人 日本環境感染学会
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