抄録
長野県北信地域では2007年から感染対策分野における地域連携を行ってきた.平成24年度診療報酬改定において感染防止対策加算算定に際して医療機関同士の連携が必須となったことから,本加算の新設が地域ネットワークに及ぼした効果について検討した.当地域に所在する医療機関のうち病院に該当する37施設を対象に,加算の算定状況,地域連携の状況について調査を行ったところ25施設(67.6%)から回答が得られた.その結果,加算による各種の変化は特に中規模施設で顕著であるとともに,小規模施設でも徐々に感染対策の体制整備が進んでいるものと推測されたが,加算による増収が各施設において感染対策費用の増額に本格的に寄与するのは今後と考えられた.よって,これまで以上に実践的な地域ネットワークを構築し,地域の感染対策の質向上のため,協力を強め相互支援を図りながら継続的な展開をしていく必要性が認められた.