抄録
公立甲賀病院では,2011年6月に院内保育所において流行性角結膜炎(EKC)が集団発生し,1週間の院内保育所閉鎖を行った.院内保育所でのEKC集団発生に対して感染対策チーム(ICT)が介入した報告は見当たらない.本論文では,EKC集団発生に対するICTの介入効果について検討を行った.集団発生の原因として,ICTの介入が遅れたこと,接触感染予防が不十分であったことが考えられた.ICT介入による予防対策として,(1)早期からのICTの介入,(2)早期の感染患児の隔離及び受診と帰宅,(3)接触感染対策及び環境消毒の強化を行った.ICTの介入後(1)~(3)は実施されており,EKC発症率の差は有意ではなかったものの,2011年26%から2012年8%に低下した(p=0.093).本研究から,早期のEKC発症園児の隔離と受診及び帰宅,接触感染対策及び環境消毒の強化は,院内保育所においてEKC集団発生防止に必要であることが示唆された.