日本環境感染学会誌
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報告
当院における血液培養検査推進キャンペーンとその効果
塚本 千絵小佐井 康介志岐 直美寺坂 陽子今村 政信賀来 敬仁田代 将人塚本 美鈴栗原 慎太郎泉川 公一迎 寛柳原 克紀
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2016 年 31 巻 4 号 p. 241-246

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抄録
 当院において適切な血液培養検査の推進キャンペーンを行い,その効果を評価した.キャンペーン内容は,院内スタッフや研修医・学生に対する講習,血液培養陽性症例の調査,院内感染対策会議における血液培養実施状況の報告,医師の指示に基づく看護師による採取の実施,採血手順の簡略化,マニュアルの改定などであった.調査は2009年1月から2014年12月までに提出された血液培養38,813検体を対象とし,提出セット数,複数セット採取率,コンタミネーション率,陽性率を算出した.血液培養の提出セット数は2009年の3,168セットから2014年には4,920セットに,1,000患者日あたりの提出セット数も12.4セットから19.3セットに増加した.成人入院・外来の複数セット採取率は2009年のそれぞれ30.6, 43.0%から2014年の73.3, 85.7%に増加した.コンタミネーション率は2009年に3.5%であったが2010年以降は2%台後半で推移した.成人入院・外来,小児の血液培養陽性率は2009年の15.1, 22.2, 9.4%から2014年には11.0, 18.7, 2.6%とそれぞれ減少した.採取セット数別の陽性率はいずれの年においても1セット採取よりも複数セット採取で高かった.複数の推進活動を組み合わせて継続的に実施することにより,現場の医療従事者に適切な血液培養検査の考え方が浸透し,その実施が推進された.
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© 2016 一般社団法人 日本環境感染学会
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