日本環境感染学会誌
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原著
手指衛生の5つのタイミングに関する直接観察者教育プログラムの開発
高島 真美藤原 広子森野 幸代杉町 富貴子芹生 珠紀日比野 もも子石垣 恭子
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2017 年 32 巻 4 号 p. 179-185

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抄録

本研究では世界保健機関が提唱する手指衛生の5つのタイミングの直接観察者教育プログラムを開発することを目的に,教育プログラムの作成,実施及びその教育効果の評価を行った.教材には著者らが作成した独自の動画を用いた.まず,教育プログラムの最後に実施するテストの信頼性について,感染管理認定看護師2名の間で結果が一致することを確認した.次に感染管理認定看護師を対象とした4時間の教育プログラム(講義1時間,動画を用いた観察演習2時間,テスト及び模範回答の解説1時間)を開発した.この教育プログラムの受講者を,受講前後でテストを受ける群と受講後のみテストを受ける群に分け,受講前後と,受講後2群間のテスト回答を比較した.受講前後でテストを受けた群(n=43)の回答結果の手指衛生機会数は,受講前19.9±6.6回から受講後24.1±3.0回に有意に増加,算出した手指衛生遵守率は75.6±19.5%から65.9±9.2%に有意に減少し,機会数・遵守率ともに模範回答(機会数25回,遵守率64.0%)に近づいた.受講後のみテストを受けた群(n=53)の回答結果の手指衛生機会数は24.2±3.1回であり,受講前後でテストを受けた群の受講後の回答と差はなかった.以上より,著者らが開発した手指衛生直接観察者教育プログラムには,感染管理認定看護師の直接観察スキルを向上させる効果があることが示唆された.

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© 2017 一般社団法人 日本環境感染学会
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