日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
報告
多施設間における清拭タオルのBacillus cereus菌数と洗濯方法の比較検討
細川 泰香三星 知細川 浩輝石井 美帆霍間 尚樹武藤 浩司高沢 純子大久保 耕嗣福原 正博継田 雅美
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 33 巻 5 号 p. 220-224

詳細
抄録

布製の再生利用可能な清拭タオルのBacillus cereus汚染が洗濯方法に影響を受けるのか検討するために,複数施設間における清拭タオルのB. cereus汚染状況と洗濯方法を調査した.さらに,清拭タオルのB. cereus汚染状況と血液培養結果との関連性についても検討した.対象は新潟県内の病院6施設として,乾燥した清拭タオルを毎月3枚ずつ収集し,B. cereusの菌濃度を測定した.また,清拭タオルの洗濯方法と保管方法,血液培養からのB. cereus陽性件数を調査した.各施設の菌濃度は0から1142 CFU/mLであり,平均菌濃度と血液培養陽性率に正の相関傾向(R=0.72,P=0.11)を認めた.洗濯方式では連続式と比較しバッチ式で菌濃度が低い傾向を認めた.さらに,洗濯工程に次亜塩素酸ナトリウム浸漬がある場合にB. cereus菌濃度が有意に低かった(P<0.01).従って,清拭タオルのB. cereus汚染は洗濯方法の違いに影響を受け,清拭タオルのB. cereus汚染が血液培養陽性率に影響する可能性がある.血液培養のB. cereus陽性件数が多い施設では,洗濯方法を確認し変更することで,血液培養陽性件数を減少できることが示唆された.これにより,B. cereusによる血流感染を減らせる可能性がある.

著者関連情報
© 2018 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top