日本環境感染学会誌
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原著
インフルエンザワクチンの準備から接種までのプロセスで発生するエラーの調査
戸丸 猛加藤 依子坂本 真志清水 さやか
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2020 年 35 巻 3 号 p. 97-103

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抄録

ワクチン接種に伴い発生するエラーを予め認識して対策を講じることは,安全なワクチン接種に重要である.しかし,薬剤調製時の手技に関する軽微なエラー実態は不明な点も多く,ワクチン接種プロセス改善の盲点になっている可能性がある.そこで,我々は2017年10月から2018年2月のインフルエンザワクチン接種で発生したエラーについて,薬剤調製時のニアミスを含めて調査した.

医師,看護師それぞれ101名の回答を有効回答とした.エラーの総件数は562件で,そのうち医師エラーの81.8%(311/380件),看護師エラーの77.5%(141/182件)は薬剤調製時に起きており,その多くはニアミスと考えられた.しかし,エラー発生後の対処が不適切なため,発生したエラーの影響がそのまま被接種者へ及んだ事例もあった.また,被接種者の健康被害に繋がるおそれを伴うエラーも発生しており,それらのエラーを被接種者やその家族に説明しなかった事例や,院内外のどこにも報告しなかった事例もあった.医療従事者への針刺し損傷は合計48件発生していた.

本調査から,医療従事者の手技の習熟やエラーが起こりにくい環境の整備が薬剤調製時のエラー防止に有効と考えられた.また,被接種者の健康被害防止には,陥りやすいエラーを認識し,エラー発生後の適切な対処方法を含めて各プロセスを積極的に見直すことが重要と思われた.

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© 2020 一般社団法人 日本環境感染学会
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