日本環境感染学会誌
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Proceedings
新興・再興感染症の感染対策 呼吸器感染症(レジオネラ症,鳥インフルエンザ,MERS)
中村 造
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2023 年 38 巻 4 号 p. 155-159

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抄録

有効な感染対策の実施には正確な知識が必須であり,新興・再興感染症でも同様である.これらの感染症では情報が不足することも多く不確定な要素も多い.レジオネラ感染症では水に関連するあらゆる設備や機器・物品が原因となり,それらの使用時の水のエアロゾル発生と吸入により感染し,基本的にヒト―ヒト感染はない.標準予防策で十分であり,特に汚染された水や水関連施設・器機の除去,または消毒が大切である.鳥インフルエンザでは鶏をはじめとする鳥類(またはヒト)の体液,糞便,気道分泌物が感染源となり,渡り鳥が世界への拡大要因である.感染源との個人防護具がない状態での直接的な接触,屠殺/解体・調理等で感染する.標準予防策に加え飛沫予防策と接触予防策が追加される.Middle East respiratory syndrome(MERS)は,感染したヒトコブラクダとの個人防護具がない状態での直接的な接触が原因となる.標準予防策に加え飛沫予防策と接触予防策が追加される.鳥インフルエンザもMERSも空気感染が起こるとする確実な証拠はないが,その致死率の高さから空気予防策や陰圧隔離の追加を推奨するものが多い.

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© 2023 一般社団法人 日本環境感染学会
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