医療のあらゆる分野で毎年,おびただしい数の論文が発行されている.感染制御の領域では,基本的な考え方は既に定まっており,医療現場の感染制御実務においては,遵守が大きな課題となっている.従って,遵守率を上げるなどの活動に注目が行きがちであるが,この領域でもまだまだ研究テーマがあり,様々な研究を行う余地がある.それらを通じて,新たな感染制御の方法が編み出されたり,新たなデバイスによる対策が有効であることが判明したりする.それらは,科学的な研究を通じて有効性を評価され,標準的な感染防止実務として定着していくこともある.本稿では,感染制御実務に影響を与えると考えられる医療環境の清浄化と薬剤耐性菌の伝播の関連性,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行における医療関連感染(HAI)の推移,抗菌薬適正使用について,2022年から2023年にかけて発行された論文を中心にその内容を紹介する.