環境感染
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酸性電解水の腸管出血性大腸菌O157: H7に対する殺菌効果
岩沢 篤郎中村 良子
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1998 年 13 巻 2 号 p. 118-123

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抄録

腸管出血性大腸菌O157: H7による食中毒が問題化し, 効果的かつ有効な予防対策が急務であり, 種々の消毒薬が使用されている.これらの消毒薬は適切な使用法を誤ると生体に対する毒性や, 環境汚染が問題となる.今回, in vitroでの殺菌効果が高く, 毒性が低いこと, ランニングコストが安いことなどの特徴を有する酸性電解水を用い, 0157防疫対策の基礎的検討を行った.
市販の酸性電解水は混和5秒後で菌の増殖は認められず, 優れた殺菌効果が認められた.電顕観察でも菌の萎縮, 菌体外に小顆粒状物質が走査型で観察され, 菌膜の剥離が透過型で観察された.
化学的に調整した疑似的酸性水の検討で効果的な殺菌効果を示したのはpH2.6以上pH3.12で, 塩素量5mg/lの濃度であった.pHが中性域になるほどより多くの塩素量を必要とし, 逆にpH2以下では殺菌効果が安定しなかった.
以上, 腸管出血性大腸菌O157: H7に対しても酸性電解水は殺菌効果が認められ, 防疫対策に有効と考えられた.

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