環境感染
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消毒剤のIn Vitro有効性評価法の検討
国定 孝夫山田 恵子織田 志保美原 修
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1999 年 14 巻 2 号 p. 127-131

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抄録
消毒剤の短時間殺菌力を評価する時に必要な不活化剤のスクリーニングを行った.消毒剤としてはポビドンヨード (PVP-I), グルコン酸クロルヘキシジン (CHG), 塩化ベンザルコニウム (BAC), 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン (AEG) を用いた.また不活化剤としてはSodium thiosulfate, Tween80, Lecithin等を配合し試験に供した.
staphylococcus aureusを用いて不活化効果の確認を行った結果, PVP-IおよびAEGにおいては良好な回収率が得られ, これら消毒剤の活性は測定用培地中に残存していない事が確認された.一方, CHG, BACにおいては不活化剤による希釈のみでは十分な効果が得られなかったが, 測定用培地にも不活化剤を添加することにより回収率の上昇が認められた.特に10%Tween80, 3%Lecitin, 0.5% Sodium thiosulfate配合の不活化剤を用いて希釈し, さらに測定用培地にも同一組成の不活化剤を1/10濃度添加することによりいずれの消毒剤に対しても90%以上の回収率が得られ, 優れた不活化効果が認められた.また, Eseheriehaa coLi, Pseudomonas aeretinosa等においても同様な結果となり, 菌株間の差は認められなかった.以上, 今回設定した不活化剤および不活化方法を用いることにより, 従来, 不活化が困難であったCHG, BACに対しても十分な不活化効果が期待でき, カテゴリーの違う消毒剤の短時間殺菌力を定量的に比較するのに有用であると考えられた.
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© 日本環境感染学会
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