環境感染
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看護業務における手の細菌汚染と消毒効果
高橋 夕子岡部 忠志沖村 幸枝本田 孝行加藤 祐美子川上 由行
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1999 年 14 巻 4 号 p. 270-274

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抄録

日常業務における看護婦の手の細菌汚染状況を調べ, ゲル状および液状アルコール性消毒剤の消毒効果について検討した. まず, 女性2名, 男性1名で消毒剤の消毒効果について検討した. 両消毒剤とも女性ではメーカ推奨量で十分な効果が得られた. 手の大きい男性では不十分であったが, 増量することにより十分な消毒効果が得られた. つぎに看護婦8名を対象とし, 引継ぎ, 検温, 清潔業務別に細菌汚染について検討した. どの業務においても看護婦の手は10種類以上の細菌に汚染されており, 水を使用する清潔業務において最も強い細菌汚染が認められた. 院内感染で問題となるMRSAや.Pseudomonas aeruginosa汚染も単発的に認められた.Bacillus属を除く細菌に対して液状消毒剤, ゲル状消毒剤共に良好な消毒効果が得られた. 医療従事者は常に自らの手が細菌に汚染されていると考えるべきであり, 患者に接する場合, 安価な液状消毒剤, ベッドサイドで使用できるゲル状消毒剤を使い分けることにより, ある程度院内感染を防ぐことが可能であると考えられた.

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© 日本環境感染学会
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