環境感染
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同一患者から間隔を置いて分離されたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の遺伝学的および細菌学的性状
北目 文郎大堀 直美
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2000 年 15 巻 4 号 p. 285-290

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抄録

同一患者から間隔を置いて分離されたMRSAのDNA型の異同と検出部位の異同, および分離間隔の長短との関係を明らかにすると共に, 間隔を置いて分離された株間でDNA型が異なっていた例については, その原因が異なる株の再感染によるのか, または同一クローンの遺伝子変異によるのかを考察した結果, 以下のことが示唆された.
1. 同一患者から間隔を置いて分離されるMRSAは初回と同じ株が分離される傾向があり, 特に分離間隔が短く, かつ検出部位が初回分離と同じ場合には同一株が分離される確率が極めて高い.
2. 同一患者由来の株であっても, 分離間隔の長短や検出部位の異同にかかわらず, 初回分離株と異なる株が分離されることがある.
3. 同一患者から間隔を置いて分離された株間でDNA型が異なる原因には, 再感染による場合と, 遺伝子変異による場合とがある.

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