環境感染
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在宅酸素療法患者の酸素濃縮器の加湿器水についての細菌学的検討
渋谷 泰寛菊池 明子杉山 幸比古
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キーワード: 在宅医療, 感染対策, 加湿水
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2001 年 16 巻 3 号 p. 197-201

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抄録

在宅酸素療法患者の酸素濃縮器の加湿水について細菌学的検討を行った. 1998年冬期, 1999年夏期の2期に在宅酸素療法を施行中の患者34人 (1998年冬期), 48人 (1999年夏期) の酸素濃縮器の加湿水を採取して, 細菌学的検討を行つた.
1998年冬期には33検体 (97%) から細菌が分離された.合計菌数は2.3log10±1.1log10cfu/mlであった. また, 1999年夏期には47検体 (98%) から細菌が分離され, 合計菌数は2.3log10±1.1log10cfu/mlで1998年冬期と有意差はなかった. 分離菌種ではCorynebacterium, Brevendimonas vesicularis, Bacillusをはじめとする環境常在菌が多く分離された.しかし, MSSA5株, CNS22株, Klebsiella oxytoca1株, Burkholderia cepacia2株など慢性呼吸器病変を有する患者にとって感染の起因菌となりうる細菌も分離された. 加湿ビンの洗浄後日数と分離菌数との関係では, 洗浄日1~7日後の菌数が洗浄後2~3週間後, 1ヶ月後, 洗浄なしに比較して有意に減少していた (p<0.05).加湿ビンへの水のつぎ足しの日数と分離菌数との間には有意な関係は見られなかった.
在宅酸素療法患者の酸素濃縮器の加湿水からは季節にかかわらず細菌が分離された.容器の洗浄方法の指導や, 加湿水の必要性の再検討が必要であると考えられた.

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