環境感染
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整形外科領域における対MRSAサーベイランスの結果報告
加藤 大三滝沢 容子中村 恵子鷲野 恵一
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2003 年 18 巻 3 号 p. 316-322

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抄録
整形外科にとって細菌感染特にMRSAの感染は手術結果を大きく左右するばかりでなく, 周術期の患者にとっては保菌状況も問題となることが多い. 我々は2001年初頭より導入した標準化予防策 (standard precaution以下SP) を基にした感染防止規定による効果を評価するために病棟の細菌環境について調査を行った, 2000年から2002年の全手術部位感染 (Surgical Site Infection以下SSI) についてSSIサーベイランスを行い, 同時に2002年3月から5月の3ヵ月間および10月の1ヵ月間入院患者の鼻腔, 看護師・医師スタッフの白衣・手指, 環境 (7項目16箇所) から週に1度ずつ培養を採り評価した. また, 入院が3ヵ月以上となる患者を対象にMRSAの保菌について前向き調査を行った. 感染防止規定を導入後SSIは有意に減少していた.また, 保菌者の推移と環境からの検出状況には相関関係が認められたが, スタッフと患者の保菌状況, スタッフと環境からの検出状況には相関関係は認められなかった. 前向き調査から長期入院中に院内伝播と確認された患者は認めず, スタッフや環境が媒介になっているという事実は認められなかった. SPを基にした感染防止規定によりMRSAの伝播を防止し, 術後感染も抑制し得た.
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© 日本環境感染学会
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