97年11月10日より総合周産期母子医療センターを開設するにあたり, MRSAのサーベイランスを行いながら対策をおこなった. 総合周産期母子医療センター開設前未熟児センターでの97年5月から10月までのMRSA分離患者新規発生数は1ヵ月平均7.3人であった. センター開設にあたり, 一処置一手洗いの徹底を行い, 98年3月よりNICUではさらに, 一処置ごとの手袋履き替えも実施した. しかし, 開設後12ヵ月間の平均は7.8人と変わらなかった. そこで, 全ての児に一処置一手洗い・手袋着用を実施した. 対策実施後1年目のMRSA分離患者新規発生数は平均4.17人, 2年目は1.33人, 3年目は1.83人であった. 厳重なスクリーニングで保菌状態の早期発見, 対処を行なうこと, また全ての児がMRSAの保菌者で有り得るとの認識の元, 全ての児に一処置一手袋の実施, すなわち全ての児に接触予防策をという発想は当院では有効であった.