環境感染
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医療系学生における麻疹, 水痘, 風疹, ムンプス抗体陽性率と病院感染対策としてのアンケート調査の有用性の検討
真砂 州宏吉永 正夫西 順一郎宮之原 弘晃前野 伸昭小田 紘
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2004 年 19 巻 4 号 p. 471-474

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抄録

本大学医学部医学科では感染対策の一環として学生の麻疹, 水痘, 風疹, ムンプスの既往歴アンケート調査を実施した. その後医療系キャンパス内で麻疹の流行がみられたため, 各疾患の抗体検査も実施した. 抗体検査は麻疹, 風疹, ムンプスはHI法, 水痘はEIA法IgGで実施し, 麻疹, 風疹は8倍以上, ムンプスは4倍以上, 水痘はEIA価2.0以上を抗体陽性とした. 今回, アンケート調査および抗体検査を実施した医学科学生461名 (麻疹は発症者を除く453名) を対象に, 抗体保有状況を調査するとともに, 抗体保有状況の把握にアンケート調査が有用かを検討した. 各疾患の抗体陽性率は, 麻疹77.9%, 水痘97.6%, 風疹86.8%, ムンプス51.6%であった. アンケートで「既往歴あり」あるいは「予防接種歴あり」を既往歴・接種歴陽性, その他を既往歴・接種歴陰性とし, アンケート結果と抗体検査結果を比較したところ, 既往歴・接種歴陽性で抗体陰性者 (偽陽性) が, 麻疹12.8%, 水痘1.1%, 風疹1.3%, ムンプス23.4%であった. アンケート調査のみでは偽陽性者を見落とす可能性があり, 抗体検査が必要であると考えられた. また, 各疾患とも抗体陰性者が存在しており, 医療系学生は臨床実習前に, 医療従事者は就職前に抗体検査を実施し, 抗体陰性者にはワクチン接種を実施するべきだと考えられた.

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© 日本環境感染学会
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