環境感染
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感染制御チームにおける医療情報IT化の活用とその意義
山根 紀子中村 洋之金丸 トモ子松下 恵子冨木田 地春堂尾 律子亀井 勝彦杉元 幹史谷本 清隆塩谷 泰一
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2005 年 20 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
2000年に導入した電子カルテシステムによって, 医療情報の収集と知識の共有化が容易となった当院での, 院内感染対策におけるIT (Information Technology) 化の意義について報告する.
サーベイランス活動は, 検査技師によってサーバーの感染制御チーム (ICT) フォルダ内に作成された感染症患者一覧をもとに, 感染担当看護師 (ICN) が患者背景因子を入力することからはじまる・サーベイランス担当ICNは, 感染制御医師 (ICD) とともに電子カルテで個々の症例を検討し, ICTメンバーとの日常的なやりとりを院内メールで行いながら, 月1回の定例会議に臨んでいる.
電子カルテシステムは, アクティブのみならず, インアクティブ患者の感染情報を院内どこの端末からでも得ることを可能にし, ICTサーベイランス活動を効率化させている. また, このシステムを活用して開始された広域抗菌薬の使用届けの義務化は, 医師の感染症治療に対する意識を覚醒させ, 結果として, その使用量は前年比45%と著しぐ減少した. 一方, 総合型医療情報システムによって, ICTが関与した感染対策のための医療材料コストも簡単に把握することが可能となり, ICTの活動は感染対策コストの削減をもたらすことになった.
電子カルテを含む医療情報IT化は, ICT活動を変え, 病院医療の質を向上させることは明らかであり, 時代が求めている「高品質と低コスト」という相反する命題の解決には, 医療のIT化が必須であるといえる.
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© 日本環境感染学会
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